3:「アルピニスト、野口健さん」 (2002.2)


登山家の野口健さんを撮影いたしました。彼の出身大学である亜細亜大学の、大学案内のパンフレットに登場していただくためのものでした。


 野口さんにお会いするのはもちろん初めてでした。「違いのわかる」山男というのはどんな人なんだろ、やっぱり山男だから、さぞかし無骨なのだろうかと想像をふくらませていました。しかし、山男という感じはなく、肌理のこまい肌をした端正な好青年というが第一印象でした。

 野口健さんは、話をしながら体を大きく前後左右に動かします。これはカメラマン泣かせでしたが、話をしていると感情が体に素直にでるからでしょう。彼の顔で印象深かったのは、黒く澄んだ大きな瞳でした。僕はモンゴロイドを中心とした人物のポートレートを撮っていますので、人の顔をまじまじと見る機会は比較的多い方だと思います。そんなふうにたくさんの顔を見てはいますが、日本とりわけ東京ではなかなか見かけられない、透明感のある鍛えられた瞳をしていました。彼の意志の強さや優しさが澄んだ瞳の奥に感じられました。


 インタビューの中でさまざまなお話をうかがいましたが、彼の言葉の中で「人に会いなさい」というのが印象的でした。自分自身の世界の中で悶々とするのではなく、人と会って話すことによって道が見えてる。思いもかけない可能性が広がってゆく。気づかなかった自分自身が見えてくる・・・。

 アスリートの極限まで鍛え抜かれた体が美しいのと同じように、鍛えられた心や瞳もまた美しいものなのだと思いました。


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